理系大学生の戯れ言

底辺理系大学生が書く戯れ言

ドグラ・マグラを読んだけど気は狂っていません

「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす」

だのなんだの言われているドグラ・マグラ

ちょっとイキった中学生が手を出しそうな煽り文句だが,つい先日なんとか読み終えることができた.

 

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このブログを書くに当たって,wikipediaアンサイクロペディア,いろいろな方の読破レポートを読んだ.そこには到底私には書けないような優れたドグラ・マグラのあらすじ,要点,考察がうまい具合にまとめられていた.

 

そして私自身このドグラ・マグラについてまだ消化不良なところが多いので,とりあえずは本書の読み方(?)を自分なりに伝えていこうと思う.

 

 

 

構成と読まなくてもなんとかなる部分

まずは本書の構成について.

本書は書簡体形式という,手紙や論文などの作中で登場するものを主人公と共に読み進める形で物語のほとんどが進行する.

ここに関してはあまり問題はなく,ほとんど違和感なく読むことができる.

 

大まかな流れは以下のようになっている.

①(地の文)主人公が目覚める

キチガイ地獄外道祭文
③地球表面は狂人の一大解放治療場
④絶対探偵小説 脳髄は物を考える処に非ず =正木博士の学位論文内容=
⑤胎児の夢
空前絶後の遺言書 大正十五年十月十九日夜 キチガイ博士手記

⑦(地の文)正木博士登場

 

このなかでいくらか読みにくいものがある.私は②④⑤が,特に②は非常に厄介だなと感じた.

④⑤は正木の書いた論文であるため,少々読み進めにくさを感じたが,内容自体は素直に読めば理解できるだろう.

②に関しては,読み終えた今,読む必要があったのだろうかと考えてしまうほどに意味が分からなかった.正直読まずとも問題なく読み終えることができた.

 

そして極論ではあるが,②③④⑤に関しては読まなくても物語の大体の話は理解できてしまう.

というのも,「⑥空前絶後の遺言書」でこれらの内容が簡単に要約されているからだ.

とはいっても本書を正確に読もうとするのであれば全て読むのが妥当だろう.

読むのが疲れたよ><って人は一旦飛ばして⑥から読んでみるのも手かもしれない.

 

あと,書かれた時代が時代なので,言葉遣いが古かったり,漢文の書き下し文みたいな部分も極わずかだがあったりするのでそれも読みにくさを加速させている.

まあなんとなく分かればいいよね…

 

他媒体でのドグラ・マグラ

ドグラ・マグラは活字以外にも,映像(実写/ア二メーション),漫画などで作品化されている.

一通り読んで理解できない,または読む気が失せた,飽きたという人はこれらに助けを求めてみるといいかもしれない.

映画(実写)

映画は1988年に初公開,2016年にはDVD化,さらには2020年にBlu-ray化されている.

YouTubeには予告編が公開されている.

youtu.be

 本作品では正木の論文内容がすっきりと映像化されており,本家の内容をとても分かりやすくまとめてくれている.

ドグラ・マグラの持つ不気味な雰囲気がより誇張され,映像というメリットを存分に生かしたとても完成度の高い作品であると思う.

とても面白い作品である.

とはいっても小説同様,初見では?が伴う場面もあるため映画だけ見てどうこう言うのはナンセンスだろう.

 

OVA(アニメーション)

2012年発売のOVA.こちらは本家のあらすじ・骨格を残したままSFチックに仕上げられている.

ドグラ・マグラ(OVA)【あにこれβ】

アマプラで見れるのでありがたく見させていただいたが,とんでもない初見バイバイ,一見さんお断り,視聴者置いてけぼりとなっている.

ただ,映画または小説・漫画を見るまたは読んでから見るとそれなりに理解できる.

これは何も知らない人が見るべきものではない.

(念のために書いておくが,OVAは本来そのコンテンツを好きな人は購入・視聴するものであるからこういった内容になるのも当然なのだ.)

(ある程度ドグラ・マグラを知ってから見ると大変楽しく視聴できる.)

 

漫画

こちらも同様に本編読了後に読んだ.『ドグラマグラ 漫画』で検索してトップに出てくるサイトで無料で読めたので驚き.

vcomi.jp

映画同様にうまいことまとめられていて,何も知らない人が読んでも理解できるようになっている.が,いくつか本編とニュアンスの異なるような表現が見受けられた.

本編ではぼかされていた結末をある程度明確に書いており,おそらく作者の解釈が反映されているのだと考えられる.

 

ちょっとした私の感想

私が一読して得た結論・推理は本書の最終盤に書かれる「私」が得た結論とほぼ同じものとなった.おそらく素直に読むとほとんどの人は同じ読み方になるのだろう.

そして私はセンター試験で学んだように,「本文中にないことが書かれた選択肢は間違っている」理論からすれば,これが間違っていない結論なのだろう.

とはいっても先述のように消化不良のままの解釈であるから私としては腑に落ちないところではある.

 

言い訳

私の過去記事にある

nu-stibium.hatenablog.com

 この記事たち.

-2の更新から180日弱が経過している.この記事を書いて時点で既に「この小説つまんねぇな…」などと考えていた.

そして今振り返ってこの記事を読むと,書いたことのほとんどが意味ないことだったなあ,と.いや,正確な理解には必要不可欠だよ?でもこんなに時間かかるなら一旦飛ばして後から読んでもよかったなと.

 

そもそも本書は

夢野久作は作家デビューした年(1926年)に、精神病者に関する小説『狂人の解放治療』を書き始めた。のちに『ドグラ・マグラ』と改題し、10年近くの間、徹底的に推敲を行った。-wikipedia,[ドグラ・マグラ],概要 より

と書かれているように10年書けて書かれたものであるのだから,1,2回読んだ程度で理解されてしまっては夢野久作はたまったもんではない.

読むのに手こずって当然なのだ.

 

まとめ

はっきりと,誤解を恐れずに言うと,このドグラ・マグラ,前半は糞つまらない.

きっとそう感じる方もいるはずだ.そう感じた方は,

①(地の文)主人公が目覚める→⑥空前絶後の遺言書 大正十五年十月十九日夜 キチガイ博士手記→⑦(地の文)正木博士登場

と大胆に飛ばして読んでみて,その後から飛ばした正木の論文やらを読んでもいいと思う.

また映画・漫画など理解を助けてくれる素晴らしい作品もあるので最初にそこから入るのもアリだと思う.

 

ドグラ・マグラ青空文庫で読めるので興味がある方は是非読んでみてください.思っているよりも怖くはないです.

あとwikipediaアンサイクロペディアドグラ・マグラのリンクを張っておくので気が向いたらどうぞ.

ドグラ・マグラ - Wikipedia

https://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E3%83%89%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%83%A9